派遣社員がモラハラ、セクハラ、パワハラにあった場合の対処法

派遣先でモラハラにあってしまったら

派遣に限ったことではありませんが、近年では、職場における「モラルハラスメント」と呼ばれる新たなハラスメントが社会問題になっています。

モラルハラスメント(略称モラハラ)とは、暴力はないものの、相手を言動や態度でじわじわ傷つけ、不安にさせて心理的な洗脳や支配を行っていく行為のことを言います。

パワハラやセクハラと比べて、周囲が気づかないことも多く、それどころか被害者や加害者も知らず知らずに行っている、分かりにくいパターンです。

ターゲットとなっている人間とモラルハラスメントを行う人間以外が気づきにくいため、周囲がはっきり気づいた頃には、受け続けた人間がうつ病など深刻な状態になっていることもあります。

目に見える行為としてはささいなことでも、繰り返し行われることになるため、被害者にとってはかなり強いストレスやダメージとなります。

しかし、行っている行動はささいな好意な為、加害者も「このくらいのこと」と軽く考えてしまいがちです。

被害者本人も誰かに相談しても「このくらいのこと」と言われたらどうしようとなかなか相談しづらい為、周囲も発見が遅れてしまいますし、人によっては相談されても考えすぎだと言ってしまう場合もあります。

また、さらに深刻化した場合、周りがモラルハラスメントに気づかないまま、被害者が退職や鬱病、自殺に追い込まれることすらあるのです。

モラルハラスメントは普通の喧嘩などとは違い、被害者の業務内容に関わらず、常に相手を見下した態度・認めないような態度によって、ターゲットにじわじわと精神的な負担をかけていくという特徴があります。

場合によっては相手を一方的に利用するなど支配下において、洗脳のような状態に追い込むこともあります。

このため、被害者本人ですら「モラルハラスメントされている」とはっきり認識できないこともあるのも、恐ろしいところです。

加害者も「自分はモラルハラスメントをしている」と認識しておらず、周囲も気付くことが困難なのです。

いずれも被害者の人格・尊厳を傷つけ、精神的にダメージを与えるものです。

派遣社員がモラルハラスメントを受けるパターンとしては、「正社員ではなく派遣社員であること」に対する、上司や職場の正社員から差別や見下しから来るものがもっとも多いのです。

つまり、派遣先企業の正社員から受けるモラルハラスメントが多く見られるというわけです。

被害者は正社員ではなく、派遣社員という弱い立場であることから逆らうことができず、じわじわと精神的なダメージを重ねていきます。

職場にいづらくなるという恐怖心から我慢する人もいるのですが、精神的なダメージの蓄積は深刻な問題に発展しかねません。

モラルハラスメントへの対処法として大切なのは、「モラルハラスメントを我慢しすぎないこと」、「自分のせいと思わないこと」です。

また、相手への仕返しする方法を考えることなどもおすすめできません。
新しい悪循環が生まれてしまいます。

モラルハラスメントの中には、自分だけでどうにかしようと思っても、限界があるパターンが多くあります。

派遣先の会社、登録している派遣会社に相談できないか調べ、安心できそうな窓口に相談してみましょう。

そのような窓口がない場合は、別のカウンセラーなどに相談してみるのもひとつの方法です。

弁護士など専門家に法律相談をすることもオススメです。初回相談は無料のところもありますし、これは「モラルハラスメントの被害」と考えて良いのかコメントもしてくれると思います。

派遣社員の女性はセクハラのターゲットになりやすい?

派遣に限らず、職場でのセクハラ(セクシャルハラスメント)は労働者にとっても会社側にとっても深刻な社会問題になっています。

セクハラとは性的嫌がらせのことを言いますが、そのパターンとしては非常にさまざまな種類があります。

深刻な事態に発展すると、セクハラが原因で被害者が退職することになってしまうケースすらあります。

行動や言動によるセクハラは、基本的に受けた側が「これはセクハラだ」と感じるかどうかが影響しています。

また、相手との関係性も影響しやすく、する側は冗談などのつもりでも、受けた側がセクハラと受け取ってしまうパターンもあります。

被害者の方は自意識過剰と思われたり、実際になにかされてもその行為を職場の他の人に知られることが恥ずかしく、相談出来ない場合も多いです。

大きく分けると、セクハラには「対価型」と「環境型」の2種類があります。

前者の対価型とは、自分の職務上の権限を利用し、相手に性的な要求をするタイプのセクハラを言います。

このような場合は、上司が部下に向かって行うセクハラがほとんどです。後者の環境型は、言動や行動によって、相手の業務やその環境を妨げる行為を言います。

派遣の場合のセクハラは、女性の派遣社員に対して、派遣契約を対価として、性的な要求や交際を要求するパターンの対価型が多いとされています。

断ったりセクハラだと指摘すると契約の更新がされない、あるいは「派遣契約を解除する」などと言って、交際や性的な行為を強要するなどが、具体的な例です。

一方環境型は、性的な質問をされた・性的な話題を強要された・仕事中や飲み会中などに体を触られたなど、いずれも派遣社員以外でも職場で起こりうるようなセクハラです。

ただし、派遣社員の場合は「派遣契約を切られてしまうのではないか」という恐れから、セクハラだと感じても相手に抵抗できない、誰かに相談することができないというケースが多くあります。

そして加害者である上司に苦情も言えず、職場で相談することも出来ず。結局1人で我慢するか、自ら退職に追いやられてしまうことも多いのです。

セクハラが原因で退職したくなっても、生活のことを考えると簡単に退職できず、うつに追い込まれることもあります。

そして、派遣など正規雇用ではない弱い立場にある女性は、正社員よりもセクハラのターゲットになりやすいという問題もあります。

勇気が必要ですが、相手に直接嫌だという意思をはっきり示すこと、「いつ・誰に・どんなことをされたか」を記録しておくことも大切です。

また、それらの記録は、派遣元や派遣先に申し立てる必要も出てきます。

口頭でのやり取りは言った言わないで逃げられる可能性もありますので、メールで内容を文字として残したり、口頭での場合は録音、それが難しい場合は毎日日記をつけてどのようなことを言われたのか、労働トラブルとして証拠を記録に残しましょう。

派遣元にも派遣先にもセクハラ防止の責任がありますので、登録している派遣会社だけでなく派遣先企業にもしっかり連絡しましょう。

性的被害にあってしまった場合等、深刻な事態に陥った場合は労働トラブルとして弁護士ドットコム等で専門家に相談や質問をすれば色々教えてくれますし、裁判をすることも可能です。

派遣先で上司からのパワハラにあってしまったら

派遣社員として勤めている人が、派遣先企業でパワーハラスメントにあたる言動によって、被害にあうことがあります。

しかし近年では、大半の企業が正社員と派遣社員の線引きをほとんどせず、仕事や業務内容や扱いが同じというケースも増えています。

しかしそれでも、非正規雇用社員であることを差別している同じ職場の人間(主に上司)から、派遣社員がパワーハラスメントのターゲットにされてしまうことがあります。

派遣社員が正社員からパワーハラスメントされる事例としては、待遇や給料の面では正社員のほうが上であるにも関わらず、大きな仕事を任されることがある派遣社員を面白くないと思った正社員が、パワーハラスメントに走るケースがあります。

また、仕事内容などとは関係なしに、派遣社員やアルバイトを自分より下の人間と常に見下し、それがエスカレートしてパワーハラスメントにつながることもあります。

派遣社員に対するパワーハラスメントは、契約の打ち切りに関する言動、正社員より重い業務の強制、派遣社員であることや人格自体を否定する言動など、さまざまな事例があります。

いずれも受けた側である被害者は、大きな精神的ダメージを負うものです。場合によっては業務を大きく妨害されたり、仕事のモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。

「自分は派遣社員だから、正社員にあれこれ言われるのは仕方ない」などとあきらめる必要はありません。

当然派遣社員にも、常に働きやすい労働環境を求める権利があるのです。相手が正社員であろうと、黙って我慢せずに相談窓口や労働相談を利用して相談しましょう。

被害者が加害者本人にパワーハラスメントであることを指摘しても、態度や言動がスムーズに改善されることは少ないです。

まずは、自分が登録している派遣会社のスタッフ(営業担当者やコーディネーターなど)に相談しましょう。

派遣会社が派遣社員の労働環境を改善できるよう、派遣先企業への交渉などを行ってくれます。場合によっては、部署異動や上司の変更などが期待できます。

ただし、派遣会社のスタッフは入れ替わりなども激しいため、相談はできても、結果は大して変わらないことがあります。

派遣会社が頼りにならないという場合は、派遣先企業の担当者への相談をおすすめします。

ここでいう担当者とは、契約書などに記載されている「苦情申し立ての担当者」のことを言います。

派遣社員が派遣先企業においてパワーハラスメント・セクシャルハラスメントなどの被害にあった場合、苦情を言ったり相談したりできる担当者ということになります。

派遣会社に相談しても改善しないという場合は、この担当者に申し立てを行いましょう。

派遣の仕事でのストレスによって体調不良が起こったら

派遣社員が仕事による精神的ストレスによって、うつや体調不良になるケースが近年増えています。

派遣社員に限らず仕事では、何らかのストレスがたまる機会が多いのですが、派遣社員の場合は、派遣先企業での人間関係や、上司などからのパワハラ・セクハラ・モラハラなどによってストレスを受けるケースが多いようです。

努力をしたり我慢をしたりしても、人間関係が改善されないままでは、ストレスはたまり続けます。

場合によってはうつになったり、体調を崩すこともあるのです。抵抗すれば契約更新がされなくなるのではないかという不安からため込む人も多いです。

精神的ストレスというものは、意外に肉体的にも大きな負担になり、仕事の疲れに加えてストレスがたまっていけば、体調を崩すことも珍しいことではありません。

ストレスからくる体調不良は、最初はだるい・やる気が出ないといった軽い症状から始まります。

それを放っておくと、頭痛・腹痛・胸やけ・悪寒などにもつながることがあります。

また、疲れているはずなのに眠れない、寝つきが悪いなど、睡眠障害が起こるケースもあります。

もちろん、これらの症状の種類や程度には、個人差があります。

一時的なものですぐに治ることもありますが、基本的には、自分でストレスを解消する方法を見出さない限りは、症状がひどくなっていくだけです。

派遣に限らず、正社員でも仕事や生活の中でストレスを受けているにも関わらず、自分にストレスがたまっているということに気づかない人もいます。
そのまま体調が悪くなっても、ただの風邪だなどと勘違いするケースも多いのです。

このように、ストレスによる症状の出方などにはさまざまなパターンがありますが、いずれも体が悲鳴を上げて、休息を求めているのは確かです。

体調不良があまりにも続く場合は、体のことを無視せずに休養を十分にとって、ストレスをため込まない・我慢しないことが大切です。

自分で休んでみてなかなか長引く場合は、ただのだるさや頭痛であったとしても一度医師に診てもらいましょう。

自分では分からないだけで鬱と診断書を書かれる場合もあります。自分1人で判断した結果、対応が遅れ最悪自殺者として発見される場合も珍しくないのです。

もしも会社に保健師がいる場合は、そこで相談し、人事担当者に伝えてもらう等の方法もあります。自分1人で抱え込まないことが大切なのです。

あまりにもひどい場合は、労働基準局の担当者に相談し、労働環境について面接指導をしてもらう方法もあります。

契約社員だから、正社員だからと遠慮をする必要はありませんので自分の労働環境について改善されるように動きましょう。

派遣の場合、実際に仕事をする派遣先企業の労働環境が、ストレスのたまりにくい快適な環境であるかも重要です。

派遣社員にとって快適な労働環境であるかどうかは、派遣先企業の同僚や上司はもちろん、派遣会社の担当スタッフ(営業)も大きく影響します。

たとえば、実際の仕事が、営業スタッフに紹介された紹介内容や契約内容と違うということがあれば、営業に説明を求めたり改善を要求することになります。

この時に営業が対応してくれない、対応すると言ったのに変わっていないなど、営業のずさんな対応が派遣社員の信頼度を下げてしまい、ストレスにつながることもあります。

このような場合は他のスタッフに変えてもらうか、派遣会社自体を変えるなどの必要が出てきます。

どのくらいの期間において、どのような発言をされたのか、タブー性のある話題を強要された等の記録や証拠があれば、それを会社の責任者に訴えるのも有効です。

飲み会が憂鬱…派遣先で飲み会に誘われたらどうする?

派遣社員の悩みの中で多いのが、派遣先から飲み会に誘われた場合の対処方法です。

飲み会が好きな人は、何も困らず普通に参加するだけでいいのですが、「断りたい」「行きたくない」などと苦手に感じる人も、当然ながらいます。

派遣社員であっても、飲み会を「派遣先の職場の同僚や上司たちと親睦や交流を深めるいい機会」と考えて、積極的に参加している人もいます。

しかし反対に、「仕事とプライベートをしっかり分けたいから派遣で働いている」などといった理由から、飲み会への参加に積極的になれない人も多いのです。

また、単純に行きたくない、面倒だといった理由とは別に、正社員と比べると収入が低い傾向にある派遣社員にとっては、会費が必要であることも大きなデメリットです。

このため「お金を払ってまで参加したくない」というのが本音の派遣社員も、当然ながらいます。

しかし実際に参加を断ってしまうと、「付き合いが悪い」「派遣社員のくせに断るなんて生意気」「飲み会に行くのも仕事のうちだ」などと思われる可能性もあり難癖をつけられるのも嫌で、社内イベントにいやいや参加している人もいます。

実際には正社員などと異なり、派遣社員が飲み会に参加する義務はないため、断ることが大きな問題というわけではないのです。

このように、派遣社員の飲み会参加は必ずしも強制参加でも義務ではない、断ったからといって文句を言われる筋合いもないのが事実です。

しかし実際には、関係者との人間関係などを守るために、月1回程度だけは参加するようにして、それ以外は理由をつけて断っている人も多いのです。

また、参加しても1次会だけで、2次会は不参加で帰るようにしている人もいます。

最初からすべてのお誘いを断ってしまうのではなく、一度だけは参加してみてから、それ以降も参加するかどうかを決めるようにするといいでしょう。

参加してみたら意外と楽しかった、ということもよくあります。

最初は、面倒だし会費が痛いと感じるかもしれませんが、必ずしも「飲み会に参加することはデメリットばかりだ」と考える必要はありません。

派遣先の人たちが抱える、現場では聞けないような本音の話や仕事情報を聞くことで、それが自分自身の仕事のヒントになるかもしれません。

いずれも仕事中は取れないようなコミュニケーションが取れたり、親睦を深められるということは、必ず現場においてもプラスになります。

あまりデメリットばかりを重視せず、飲み会にはこのようなメリットがあるということも覚えておいた上で、上手に飲み会と向き合っていきましょう。

派遣を辞めたい理由と辞める方法

正社員と比べると、何かと自由なイメージがある派遣社員ですが、途中で辞めたいと思う人も多くいます。

派遣を辞めたい理由としては、体調不良や家族の看病(介護)といったやむを得ないような理由から、業務内容が退屈・忙しすぎる・作業が単調といった、個人の感じ方による理由など、非常にさまざまです。

また、派遣先企業の社員たちと気が合わない、職場でパワハラやセクハラにあってしまうなど、派遣社員ならでは人間関係の複雑さが影響して辞めたいと思うケースも多くあります。

それ以外では、女性の場合、結婚や出産などをきっかけに辞めることが多いようです。

また、派遣先企業での仕事に限らず、派遣社員自体を辞めようと考える人もいます。つまり、派遣会社の登録自体を解除したり、正社員を目指したりするといったパターンです。

終身雇用制度である正社員とは異なり、一定期間ごとの更新や再度の面接などの不安定さに不満が出てきたために、派遣自体から離れたくなる人も少なくありません。

また、世間では実際の安定度や優劣とは別に、派遣を含む正社員以外の雇用形態が下に見られることが多くあります。

派遣という身分的な不安定さに不満を持ち、派遣を辞めて正社員を目指す人もいます。

特に男性の場合は「正社員ではなく派遣」という事実が、女性からの見方や考え方にマイナスに働くことが気になる人も多いでしょう。

派遣だからという理由だけで、結婚のチャンスを逃す男性も少なくはありません。

実際に結婚相談所などは派遣の男性は登録できないなど、世間の扱いは意外にも厳しいものです。

また、収入的に問題がなくても、派遣を長期で続けていると正社員になるチャンスを逃してしまうことも考えられます。

このため、正社員を目指すのであれば、早めに派遣を辞める必要があるのです。

このように、派遣を辞める理由にはたくさんのパターンが存在しますが、どんな理由の場合も必ず「辞めたい」と事情や悩みを相談をする必要があります。くれぐれも無断欠勤や、連絡の無視などはしないようにしましょう。

相談先は、登録している派遣元の営業担当者であることがほとんどです。

担当営業者としては、簡単に派遣社員を辞めさせることはできませんから、立場や力量次第では、仕事内容や勤務日時・給与面などの問題の解決に乗り出してくれることがあります。

上司からのいじめやセクハラなど人間関係の問題も、一度は相談してみることをおすすめします。

ただし、派遣会社の担当者が対応してくれない場合は、派遣先企業に相談することになります。